OKAMOTO'S 6th ALBUM "OPERA OKAMOTO'S"

interview

image

もはやロックンロールという枠組みからも解き放たれるしね。

ショウ今回ロックンロールは一切やってないですね。今まではロックやロックンロールという土台の上で間違いないものを作りたいと思いながら曲を書いてきましたが、今回はあえて間違った楽曲ばかりを作りたくて。音楽以外でも間違いのないものは世間にあふれているし、俺らもルーツを守りながら間違いのない楽曲を散々作ってきた。もちろん、完成されたロックバンドへの憧れは今もあります。古い音楽も大好きですし、たくさん聴きます。でも、そういう作品はわざわざ壊さなくても完璧にカッコいい。その一方で、何回聴いても毎回純粋に驚いてしまうような、ものすごい破壊力を持った作品もあるじゃないですか。自分たちにしかできないやり方で、やっとOKAMOTO’Sもそういう作品を作れたという実感があります。

コウキロックバンドとして当然のようにカッコいい作品を作り続けたいと思ってましたし、日本にはそういうバンドがあまりにいないので自分たちがそのポジションを担うべきだと思っていた節がありましたけど、もうそういうことは気にしないでいいやと吹っ切れたんです。すべてのきっかけは「Dance With Me」が完成したことでした。自分が作る曲にしても、いつだって70点、80点のものは平気で作れるんですよ。でも、それを続けてると100点以上の曲がなかなか作れなくて。だから、今回は0点か 100点しかとれない曲を作りたいという想いで制作に向かっていたんです。

レイジだから超フレッシュなんだよね。このアルバム、個人的に岡村(靖幸)ちゃんの『家庭教師』を聴いてる感じを思い出すんですよ。90年にリリースされたアルバムなのに、今聴いても“なんだこれ!?”っていう新しさもある。いつまで経っても理解しきれない。だから、何度も聴いちゃう。

ハマそもそも本当にカッコいいバンドやアーティストは突拍子もない楽曲をポップなものに変えてしまう力を持ってると思うんです。国民的バンドと呼ばれるサザン(オールスターズ)もそうじゃないですか。

レイジ俺らは自分たちでヤバい音楽を鳴らしてると思ってたけど、本当に売れてる人たちの狂い方には全然敵わないなって、ショウと話していて気づいた事があったんです。サザン(オールスターズ)だったりセカオワ(SEKAI NO OWARI)だったり、狂い方が尋常じゃない。売れてるからそのあり方が普通に見えるけど、本質的には相当狂ってると思いますね。

ハマ何をもって狂った音楽とするかはそれぞれの価値観にもよると思うけど、サザンのような狂った素質はこの4人もそもそも持ってると思う。

コウキその反面、美学やこだわりにおいてすごくまじめなんですよね、OKAMOTO’Sって。そのリミットをロック・オペラというテーマが外してくれた。

ショウ本当にそうだね

レイジやっぱりすげえヤバいと思う、このアルバム。

ハマあとは、僕らが感じてるこの“ヤバさ”がどう伝わるか。ここからこの作品がどう広がっていくのか、緊張感をもって楽しみにしています。

(全曲解説)

1.OVERTURE

フィールドレコーディングしたと思われる雑踏のSEから始まります。そこに15曲目「Beautiful Oneday」とリンクする形で、The Flaming Lipsの「Race For The Prize」を思わせるシンセのフレーズと「Dance With Me」のコーラスが重なって、アルバムの世界へと導いていく。

レイジ雑踏のSEは俺が、友だちが遊んでるライヴハウスにレコーダーを持っていて。そいつらに“何やってんだよ!”と話かけながら録音したものです。友だちが俺の名前を言わず“何やってんだよ!”って言ってきたから、これはいいのが録れたなと(笑)。ストーリーとしても、主人公の男が仕事終わりで仲間たちのいるライヴハウスに行くところから始まるという設定なので。いい演出ができたと思います。

アルバムの最後に「Beautiful Oneday」から「Dance With Me」まで聴いて、また「OVERTURE」に戻るとより感動が増しますよね。また1曲目から聴きたくなる。

ショウそうです、まさにそういう狙いがありました。

2.Dance With You(Album ver.)

ショウアルバムミックスを施してるので、ぜひそこに注目してもらいたいですね。

コウキ音がより生々しくなってるよね。

ハマシングルよりさらにバンド感が強く出ましたね。シングルのミックスではあまりコーラスが前に出てないんですけど、このアルバムミックスではコーラスがかなり前に出てるので。それもあってオープニングの壮大感がよく出ていると思います。

ショウ歌詞の〈ここから何が始まるかなんて誰も知らない〉というフレーズは、この曲をストーリーの幕開けとなるものにしようと考えた仕掛けでもあるので。〈もしかしたら俺たちは、みんな同じように “本当の自分”を見てもらいたいだけなのかもしれない〉というフレーズにしてもそうですし、こうして実際にアルバムのストーリーに機能していることを実感してグッときてますね。

レイジ歌詞でフラグを立てまくってるよね。

3.アップサイドダウン

いわゆるデジタルロックテイストのサウンドだけど、ちょっとグランジ感も漂ってますよね。

ハマそうですね。90年代から2000年代前半のサウンド意識した様な。

コウキマンチェスターで作ってきました(笑)。

レイジ俺もけっこう渋い感じのプログラミングができたんじゃないかと。最近ちょうどテクノなんかにハマっていて。そういう影響も出てると思いますね。こういうサウンドのプログラミングを組んでみて思ったのが、やっぱりポップス尺にするのは大変なんだなということで。7、8分ある曲だったら問題ないんですけど。

テクノやハウス的なトラックを作る発想で考えたらそうだよね。

レイジそう、尺を時間内に収めたうえでアゲる曲にするのは大変ですね。

ハマただ、この楽曲はプリプロダクションの段階で、ギター、ベース、ボーカルのみでけっこう形になっていたんです。

レイジ順調にできたよね。

ハマなので、ライヴは原形のスタイルでビートも完全に生に差し替えて演奏出来るんじゃないかと。

コウキ僕らが取材などでロックバンドが演奏する4つ打ちの曲に対して苦言を呈して、その流れであえて「JOY JOY JOY」や「SEXY BODY」のように4つ打ちの楽曲を作ったりもしましたが、それを踏まえて、だったら打ち込みをふんだんに取り入れてもっと真正面からアプローチをするのもありだなと思っていたので。この曲でそれが実現できたなと。

ハマ僕は最初、この曲をアルバムのリード曲にしてもいいと思っていて。この曲は“OKAMOTO’S、変わったな!”ということがすごくわかりやすく伝わると思うので。実際そういう狙いもありましたし。

レイジ確かに俺らはこの曲をすでに聴きまくって慣れちゃってるけど、インパクトはかなり強いよね。