OKAMOTO'S 6th ALBUM "OPERA OKAMOTO'S"

interview

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まさに4人の個性を随所に抽出したうえで1枚にまとめてる。

ショウ今までは4人の個人的な好みは置いておいて、4人が共通して好きなことを中心にやってバンド感を出そうという作り方だった。でも、このアルバムは最初からこれまでの流れを変化させたいと思っていたし、ライヴ云々を言い訳にせずにそれぞれの好みも存分に込めたいと思いました。そんな意図もあり、俺としては最初からメンバーからの提案に対して“ダメ”と言わないことを徹底していました。

ハマそれは言葉として初めて聞いた(笑)。

レイジ俺的には「楽しくやれるハズさ」がアルバムに入るって決まったときにいちばんビックリしましたね。“これがありなんだ!”って。でも、すげえいい曲になった。

この曲もしかり、多くの曲でレイジくんがビートメイクや打ち込みを担当していて。ここまでヒップホップヘッズとしての顔をOKAMOTO’Sに持ち込むのも初めてですよね。

レイジ俺もそういう顔を出せるとは思ってなかったし。「楽しくやれるハズさ」も、そもそもバンドに持ち込むことをまったく意識せずに家でひとりでビートを組んで、“ヤベえビートができた!”って満足してたんですよ。たまたまそのトラックをショウに聴かせたときに“アルバムのストーリーでマッチしそうなシーンがあるから、このトラックを送ってほしい”って言われて。それで送ってみたら、ショウから歌とリフが乗っかった音源が返ってきて、“ヤバい!”って思ったんですよね。すげえうれしかった。

今までのレイジくんはOKAMOTO’Sでこういうスキルを出せないし、出さなくてもいいと思っていただろうし。

レイジそうっすね。変な言い方になっちゃいますけど、俺が普段遊んでる友だちやそれこそヒップホップをやってる仲間は、本当に仲がよくても俺個人と仲がいいという感じで、OKAMOTO’Sに対してそこまで興味のあるやつって実はそんなにいなかったんですよね。ライヴにも遊びに来てくれるし、“カッコいいね”とは言ってくれるんだけど。でも、今回のアルバムはマジでそういうやつらにも刺さるものがあると思うんですよ。べつに俺がビートを打ったからというわけではなく、アルバム全体としてそう思えることが大きいです。これも誤解を恐れずに言えば、このアルバムは万人に聴かせる作品というよりも、わかるやつにわかってもらえたらいいと思ってる部分もあるんです。そこまでデカく視野を広げてないと言ったらおかしいですけど——いや、多くの人に聴いてもらいたいのは間違いないんだけど——言い方が難しいな。

でも、ホントに音楽が好きな人なら何かしらの反応をせざるを得ないアルバムで。それに俺は決して難しいアルバムではないと思うし、何よりアルバム全体でエンターテイメントしてるじゃないですか。

ショウそうです。それはすごく大事な要素だと思います。だから、レイジが言ってることもすごく理解できるんですよ。バンドがメジャーのフィールドで活動している以上、理解されなくていいなんて思って作品をリリースすることに意味はないし、そんなことは全く思ってない。でも、それと同時にみんなにわかってもらわなきゃいけないとも思っていなくて。俺が言いたいことや俺たちが鳴らしたい音を徹底的に表現して、そのうえでこれだったら伝わるんじゃないかというバランスを取ることが大事だと思うんですよ。

うんうん。大前提にあるのは、OKAMOTO’Sというバンドがロックオペラというコンセプトを手に入れた勝利ですよね。単曲でも組曲のような構成になっているものが多いんですけど、その多様な音楽性の連なりとしてアルバム全体が大きなひとつの組曲、ストーリーを形成しているという。その大きなひとつの組曲、ストーリーこそがまさにOKAMOTO’Sの実像なんだって思う。

ハマホントにそうで。実は『OPERA』の小説版も絶賛制作中なんですよ。東京ピストルの草彅(洋平)さんに書いてもらっていて。

あ、小説まで!?

ハマ音源、歌詞カード、ジャケットで示すこの作品のストーリーを、一歩先にあるやり方で提示できないかと思いまして。今、これだけ多種多様な音楽が溢れている時代のなかで何を選ぶのか、リスナー一人ひとりが意識的にも無意識的にも優先順位をつけているじゃないですか。だからこそ、音とビジュアルの他にプラスアルファで提示する方法が欲しかったんです。そこで小説という媒体を思いついて。この作品を広めるための個人的なテーマとして、リリース前にアルバムの内容を知った気になってほしいと思っていて。最近の映画予告の中に、封切り前にオープニングからオチまで全部教えちゃってるな、というものもあるじゃないですか(笑)。

はいはい(笑)。

ハマあれほどではないですけど、この作品もリリース前にはリスナーにストーリーを知っておいてもらえるようにしたかったんです。計画上では、アルバムがリリースされる前に小説版も最後の曲のストーリーまでオフィシャルの特設サイトにアップする予定です。でも、それは全体の80%くらいのものにとどめておいて、最終的に100%の状態の小説は書物にしたいと構想しています。WEB上でストーリーに触れてもらって、最初は文字から読み取った頭の中で描いたストーリーが、アルバムを聴いたときにそのサウンドトラックとしてリスナーに機能するように落とし込みたいんです。まず「Dance With Me / Dance With You」をシングルリリースして、そのジャケットで既に『OPERA』の主人公の男の子が描かれていたことに始まって、『OPERA』のストーリー、サウンドの振れ幅、アルバムジャケット、そして小説とすべてがリンクしてるんです。それは僕らのアー写も「Dance With Me / Dance With You」のMVもしかり、このアルバムでついに僕らの念願だったアナログを切ることもすべて必然性をもってリンクさせることができた。その喜びはとてつもなく大きいです。

だからこそ、そのリンクの先にはこのアルバムを刺激的に楽しんでくれるリスナーがいてほしいし。

ハマそうなんです。こういう作品を作ったからには“超ヤベえ!”と言ってくれる人を増やして、その“超ヤベえ!”を友だちや恋人はもちろん、親にだって伝えてほしい。自分の信頼している人がおもしろいと言ってるものがいちばん信憑性が高いと思うんです。そのマジックに懸けたいんですよね。これから多くの取材を受けると思いますけど、ライターの方々がそれぞれどんな表現でこのアルバムについて書いてくれるのかも興味深いですし。“圧倒的なロックンロールで〜”だったり、そういった表現では片づけられないアルバムを完成させた自負があるので。そういうことも楽しみなんです。

レイジ“嫌い”って言う人がいてもいいと思うし。