Okamoto's

『Dance With Me / Dance With You』

SPECIAL INTERVIEW

― HAMA OKAMOTO Part ―

——話によると、次のアルバムはロックオペラのような性格を持ったコンセプチュアルな作品になりそうだと。で、ロックオペラと言えばThe Whoの『Tommy』を連想するという流れの話ですよね。

ハマ まさに。「Me」がアルバムのエンディングだとしたら、「You」をプロローグにしようと。「You」で始まって「Me」で終わるという構成が一気に固まって。

——つまり「Me」と「You」がニューアルバムのガイドになる。

ハマ そうなんです。ロックオペラというと、よくわからない人もいるかもしれないけど、簡単に言えばひとつのストーリー性がある世界を1枚のアルバムで表現するということですよね。それはThe WhoなりDavid Bowie(『Aladdin Sane』)しかり、いろんな先人たちがやってることで。あとは、Green Dayが『American idiot』をリリースした組曲で構成されている“パンクオペラ”なんて称されていて。あのとき僕はひとりのリスナーとしてすごく盛り上がったんです。今、若手と呼ばれるバンドのなかでそういうコンセプトやストーリー性を持ったアルバムを作れるのは俺たちしかいないんじゃないかと思うし。岸田さんに“次のアルバムでロックオペラをやろうと思ってるんですよね”って言ったら“バカか”って笑われましたけど(笑)。

——きっとそのバカには愛がこもってるよね。

ハマ うん、そうだと思います。

——もちろん、作品自体をマニアックなものにする気はまったくないだろうし。

ハマ そう、全然ないです。

——ひとつの舞台装置としてロックオペラ的なコンセプトがあるという。

ハマ そういうことですね。俺たちは懐古主義的なことをやるつもりはまったくないし、むしろ今の日本の音楽シーンやリスナーに対して新しいアプローチを提示したいという想いなんです。とにかく1曲目から最後の曲までストーリーが地続きのアルバムになると思ってもらえたら。

——かつストーリーという1本の線があれば、音楽的にもきっといろんなアプローチができますよね。

ハマ そうなんですよ。“OKAMOTO’Sは音楽に詳しいし演奏もしっかりしてる”みたいなことはずっと言われてきましたけど、それとは表裏一体で“でも結局何がしたいの?”って疑問もあったと思うんです。

——ストレートなロックンロールもガレージロックもブギーもモータウンビートも4つ打ちもやるし。

ハマ そうです。それってべつにマイナスなことではないと思っていたけど、その疑問に対してどう答えようって思ったときに、ロックオペラの様なコンセプトを持ったアルバムを作れば、リスナーもストンと腑に落ちると思ったんです。俺らがいろんなタイプの曲をやる大きな理由になる。この前もメンバー4人で話していたんですけど、食事をするときって情報量が多いじゃないですか。ビジュアルだったり、匂いであったり、食感であったり。当然、音楽は耳で聴くことがメインなんだけど、アルバムにひとつのストーリーがあることで、いろんなリズムやサウンドのバリエーションがあるという演出が活きてくると思うんですよね。だから、ようやく自分たちが体現してきたパフォーマンスがきちんとアルバムにハマるのかなと思ってます。それは、一辺倒な音楽をやっているバンドにはできないことなので。

——期待してます。

ハマ ぜひ。ストーリーの内容も2015年の日本のバンドが描くべきものにしたいと思っているので。そこでOKAMOTO’Sとして初めてしっかりリスナーの共感性を得ることができそうな気がするんです。必ず最高のアルバムを作るので期待していてください。